自然科学研究支援開発センター
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TEMについて

担当スタッフ:前田 誠 (E-mail: mmaedahiroshima-u.ac.jp, 内線:2483)

TEMって何

SEM(走査型電子顕微鏡)は試料表面から放出・反射した電子を用いて像を得るが、TEM(透過型電子顕微鏡)は試料を透過した電子を用いて像を得る。 透過した電子を用いることにより、物質の内部構造に基づいた様々な情報を得ることができる(e.g. 明視野像、暗視野像、回折図形)。

TEMの利点、特徴 (SEMではわからないこと)

電子回折図形が得られる

単結晶からは二次元点配列のネットパターン(格子状のスポット、図1a)、多結晶からはデバイシェラーリング(回折環、図1b)、非晶質(アモルファス)からはハロー(図1c)、が得られる。試料が結晶であれば、回折パターンから同定が可能である。

結晶中の格子欠陥、転位に関する情報が得られる

結晶中の格子欠陥、転位は、結晶のできかた、もしくはできたあと現在に至るまでの履歴(e.g. 温度・圧力の履歴)を反映しており、さらに、試料の強度や電気伝導度に関する情報も与えてくれる。

結晶の配向方位がわかる

高分解能像から結晶内の分子配列、原子配列がわかる。これにより、どの方向の結晶面が卓越して成長しているのかを特定できる。 また、二相が隣接している試料であれば、両相の方位関係を知ることができる。

極微少領域の元素分析ができる

電子線の照射によって試料表面から放出される特性X線を用いて、定性、定量分析ができる。 また、元素マッピングを用いて試料中の元素分布(組成の均質度)をナノスケールで知ることができる。

CCDカメラに関して

本センターのTEMは、OLUMPUS製のMEGAVIEW(サイドマウント)とCANTEGA(ボトムマウント)の二台のCCDカメラを装備している。Megaviewは従来のCCDシステムの欠点であった表示速度と感度を大幅に改善したハイスピードカメラ、Cantegaは高感度、高SN比、高分解能のスロースキャンカメラである。CCDによる撮像は他の手法(フィルム撮像法、イメージングプレート撮像法)に比べて遥かに簡便かつ低コストである。 さらに、付属のCCDコントロールソフトウェアiTEMは各種計測/解析/画像処理機能を備えており、データ解析をスムーズに行うことができる。

試料に関して

作成法

TEM試料は電子線を透過させるために薄膜化(およそ100 nm)する必要がある。比較的硬質なものを薄膜化するにはイオンミリング法、柔らかいものにはウルトラミクロトーム法がよく利用されている。どちらの手法も高額な装置を必要とする。当センターはイオンミリング用にGatan社製PIPS691形を共同利用装置として備えており、依頼分析も可能である。 また、数ミクロン程度のサイズであれば大型装置を使わずともTEM用試料に加工できる。

観察できない試料

強磁性の粒子。水分、揮発性成分が豊富な物質。但し、工夫次第で観察できることもあるので、一度担当者に相談することをお勧めする。

生物系試料に関して

生物系試料も本センターのTEMで観察可能であるが、基本的に前処理が必要である。しかし、前処理に必要な設備は本センターにはない。また比較的低倍率(数千倍)で広範囲の観察を必要とする試料には不向きである。但し、ファージやタンパク質などを高倍率(数十万倍程度)で観察するには向いている。実際に、過去にそのような観察の実例もある。 生物系の試料に関しては、当センターの遺伝子部門に専門に取り扱っている方がおられるので、そちらへ相談してみることをお勧めする。
リンク: 自然科学研究支援開発センター 遺伝子実験部門

技術的なサポートに関して

電顕に関するサポートは、担当技術職員(前田)が責任を持って対応致します。 装置の扱い、試料の作り方、データの解釈、解析方法(指数付けの方法)など、電顕に関することなら幅広くサポート致します。 FE-SEMは比較的扱いが簡単な装置ですが、僅かな工夫で劇的に試料の見え方が改善されることがあります。 TEMは比較的扱いの難しい装置ですので、初心者の方へは懇切丁寧に使用方法をお教え致します。 専任の職員がいるという恵まれた環境を存分にご利用頂ければと思います。どうぞ、お気軽にご連絡ください。

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